久しぶりに夏目漱石の小説を読みました。
『それから』という小説です。
主人公の代助、わたしじゃんって思ってしまった。
代助ほど頭は頭キレないけど、職業をフラフラして親にお世話になっているところとか、
好きな人への気持ちをごまかすのがうまいところとか、
自分が悪いと思っていながらも、悪いことの中の潔さに酔っているところとか、
すごく共感してしまった。
代助は最後に職を求めて東京の街へ出て行くのだけど、
その描写といい、夏目漱石はやっぱりすごいと思った。
夏目漱石の文章は、すべてが心の中に思える。
街並みや他人の仕草でさえも主人公の心に映った風景として感じられる。
夏目漱石の文章を読むと、言葉で表現できないものはないのかもしれないと思える。
そう思わせることができる時点で、この人は天才と呼んでいいんじゃないか、むしろ天才と呼ばせてくれ!と思いました。
夏目漱石の読んだあとは、もやっとした灰色の煙に包まれたような気分になる。
苦いんだけど、それがなくなって欲しいとは思わないというような。
生き物のもつ悲しい性(さが)といった感じでしょうか。
わたしは夏目漱石がどんな人だったのかほぼ何も知らないのだけど、
ちょっと知りたくなってしまった。
素晴らしい小説を読み切ることができて、よかったです。
夏目漱石ありがと〜〜
おしまい