涙出ながら話した2時間【Disclosure】
昨日「Disclosure(トランスジェンダーとハリウッド)」というドキュメンタリーを見ました。
見たあと、親と2時間くらい話し合っていろんなことが分かったので書いてみます。
内容はこうです
内容は、こんな感じです。
トランスジェンダーがハリウッドでいかに描かれてきたかを、彼らを代表するオピニオンリーダーやクリエイターらが分析し、それぞれの思いを語るドキュメンタリー。
Netflixより
まず最初に実感したのは自分の今まで持っていた差別意識でした。自分もクィアの一人だと認識しているので、関心は高い方だったと思います。
しかし、たくさんの人のインタビューや映画における描かれ方を見ていくと、自分がいかに差別に無意識だったかが分かりました。
当事者からみれば言われるのも嫌かもしれないけど、自分もそのことにショックを感じました。
親との会話
話し合いになったきっかけは、親のひとことでした。
親はこの作品について「これも宣伝だね」と言ったんです。
わたしは、抑圧されてきた人たちが、勇気を持って話してくれていたことに感謝の気持ちがありました。だからこの言葉に正直怒ってしまったんです。
いったん落ち着こうと思い、スルーしようとしました。でも、やっぱり引っかかるものがあったので、質問をしました。「どうして宣伝だと思ったの?」と言いました。
するとわかったことが多くあったんです。
親の傷つき
ドキュメンタリーの中では、けっこう強い口調で過去の映画やドラマを批判していました。
親が見た映画も多く出てきて、大好きな俳優さんもその中に含まれていました。だから強い批判の言葉を聞いて、親はとても傷ついていたのです。
親は傷ついていたのに、抑圧してきた側(ひどい表現を無視しつづけられた)だったから、傷ついたことを言えなかった。言うべきじゃないと思っていました。
大好きな人を否定された悲しさとモヤモヤがあったから、あの発言をしてしまったと話してくれました。もしかしたら悪意があったかもしれないと言ったんです。
親がそこまで傷ついてたとは知らなかったので、それを知れてよかったです。
なんで泣いたか
わたしは親に質問をしながら、話し合いながら泣いていました。なぜ泣いているのか自分でもよく分からなかったです。
今思うと、
①トランスジェンダーに対する差別への、自分の無自覚さに落ち込んでいたこと
②さらに親が強めの言葉を発したことにショックを受けたこと
という二つのことがあったから泣いていたようです。
わたしが泣いているのを見て、親も泣いていました。
トーンポリシングについて
お互いに傷つきあっていたのを話し合ったことで、さらに考えたことがありました。
それはトーンポリシングです。
トーンポしリングとは…
tone(口調、話し方)とpolicing(policeする=取り締まる)を組み合わせた造語で、相手の発言の「中身」ではなく、その発言の「言い方」を非難することで、発言の妥当性を損なおうとする行為である。
https://note.com/h_ototake/n/ne9e4efca7c4b
わたしたちがショックを受けた理由のひとつには、出演していたひとたちが怒りをもった話し方をしていたということにもあると思います。本当のことを言うとそうです。
でも、この考え方はトーンポリシングに加担する考えになってしまうのでしょうか。
インタビューで話していたことを否定するつもりは全くありません。話の妥当性を損ねようという気持ちもありません。
そして、自分の命までも壊されそうな経験をした人たちに、
「怒らないで、冷静に話してください。」
なんてわたしは言えないし、言うべきでないと思っています。
しかし、正直に言うと、強い口調で批判している映像を見て精神的にきつかったです。
全く強い口調ではない人もいました。でも全体を通して見たあとはやっぱりしんどい気持ちがありました。
相手の怒りを受け止める。その怒りに対する怒りを持つのではなく、同じ方向に怒りを持ちながら、冷静に差別とたたかう努力をしなくてはいけないと思いました。
まとめ
本当に見て良かったです。長いやりとりになると分かっていながら、親に質問したことは意味があったと思います。
そしてめんどくさい質問に誠実に答えてくれた親にも感謝します。
あまり書いてきませんでしたが、親もわたしもトランスジェンダーの人たちを支持する気持ちは強くあります。
おわり。